自動車ローンABSやクレジットカードABS同様リース債権の証券化はリース会社に資本市場からの新たな資金調達方法を提供します。
わが国で本格的な証券化の端緒となった特定債権法が1993年に施行されたのもリース・クレジット債権を対象とするABSの発行を可能にして銀行からの借り入れ以外に資本市場からも資金調達できる手段をリース会社や信販会社に提供する目的がありました。
前述のようにMBS市場に先駆けてABS市場が発展を遂げた現在のわが国ではリース債権の証券化かABS市場でも主要な役割を果たし特定債権法に基づく証券化の70%程度(1997年)のシェアを占めています。
事業会社は取引先に商品を販売しても通常その代金をすぐには受け取らず後日決済します。
このことにより商品の売却会社は購入先からの将来の代金の受け取りという債権を持つことになります。
これが売掛債権です。
この将来の代金支払いへの請求権を資産として行う証券化か売掛債権の証券化となります。
売掛債権を証券化すると将来支払われる予定の(しかし支払われないリスクもある)代金と引き換えに手に入れられます。
発行企業にとっては資金回収が早まり現在の自由になる手元資金が増えると同時に将来代金が支払われなくなる可能性というリスクも減らせるわけです。
売掛債権は短期に完済される債権ですからこれを原資に支払いを行う証券化金融商品も短期に支払いが終了するものである方が便利です。
そこで発行される証券化金融商品としてはABCPが利用されます。
ここで言うCP(コマーシャル・ペーパー)とは優良企業が短期の資金調達を目的に発行する(従って短期に支払いを終える)債権です。
ABCPはそのCPの資産担保証券版です。
CLOはその名の通りCMO(モーゲージ証券担保債務証書)において対象資産を個人向け住宅ローンとする代わりに銀行が抱える一般の貸付けとしたものです。
一方CBO(社債担保証券)はCMOの債券版です。
格付けや流動性が低くそれ自身では取引が容易ではない社債をCBOとして売却することが発行する主な動機となります。
先に簡単に触れたようにCLOもCBOも対象資産を構成する第一段階でのプーリングによる個別リスクの分散効果を活用します。
例えばCBOを考えましょう。
CBOではまず様々な社債をひとまとめにプールして対象資産を構成します。
これによりプールに含まれる個別社債の個別リスクは分散されプール全体の価値の変動は個別社債の個別リスクの影響を受けにくくなります。
この結果分析の難しい個別リスクの影響が減り投資家にとって債券のプールは個々の債券よりも投資し易いものとなります。
そのうえでさらに高格付けの債券を作り出すストラクチャーを入れる等投資家の需要に合わせてプールが生み出すキャッシュフローを切り売りします。
こうすることでプールを構成する個々の社債の流動性や格付けが低くてもプール全体から作られるCBOは売却が容易になるのです。
CLOについても同様です。
様々な貸付けをひとまとめにプールすることで個別の貸付けの個別リスクを分散しプール全体の価値の変動への個別リスクの影響を減らします。
分析の難しい個別リスクの影響が減る分プールは投資家にとっては投資し易くなります。
これを投資家の需要に合わせて切り売りすれば個々には売却が難しい貸付けであってもそれらのプールであるCLOは容易に売却できるようになるわけです。
この原理を利用すれば個々の企業として見ると個別リスクの影響が大きいため貸付けや社債への投資が難しい場合でもそれらの企業をプールして作ったCLOやCBOへの投資は容易にできるすなわちそれらの企業のプール全体としては貸付けや社債への投資を容易なものにできます。
もちろんここで貸付けや社債投資が容易になるということは企業の資金調達がそれだけ行い易くなることを意味します。
行政によって例えば中小企業の資金調達を支援する政策としてCLOやCBOが推進されるのはこのような理由によるのです。
証券化の手法は将来生み出されるキャッシュフローを現在売却することを可能にします。
これを利用して最近では現在の資金を手に入れるため「こんなものまで!」と思えるほど様々なタイプの将来のキャッシュフローの証券化か行われるようになって来ています。
例えばロック・スターのデビット・ボウイによる将来の音楽ロイヤルティー収入、すなわち将来レコード販売や音楽使用に支払われる著作権使用料-を対象資産とするABSの発行がそうです。
映画の将来の興行収入を対象資産としてABSを発行し資金調達を行ったハリウッドの映画会社もあります。
わが国でもゲームソフトの将来の販売収入を対象資産としてABSを発行しその売却益をゲームソフトの製作資金とするという手法の資金調達が実行されています。
もはや証券化の対象は限りなく広がりつつあると言っても過言ではないでしょう。
CMBSはオフィスビル等の商業用不動産を担保とするローンを対象資産として行う証券化です。
米国では1990年代初めにRTCがS&Lの債権処理にCMBSを利用したことから市場が急激に拡大しました。
その基本的な仕組みは形式的にはMBSやCMOとほとんど同じで住宅ローンの代わりに商業不動産ローンを入れたものがCMBSの基本的仕組みとなります。
CMBSがMBSと異なるのは個人の住宅ローンに比べ個別の商業不動産ローンの規模が大きい点です。
このためCMBSの対象資産として構成されるローンのプールに含められる案件の数は少なくなります。
よって多くの住宅ローンをプールして個別ローンの個別リスクを分散させられるMBSとは違いプーリングによる個々の案件の個別リスクの分散は十分には効きません。
その結果CMBSを取引するためには対象資産に含まれる個別の商業不動産ローンの個別のリスク特性を評価することが一層重要になります。
REITとは不動産投資信託です。
その名の通り株式発行や借り入れによって資金を調達しその資金で不動産への投融資や不動産関連の証券化金融商品(他のREITMBSCMBS等)への投資を行います。
米国で1960年に制度化され幾度かの改革を経つつ1990年代に急拡大を遂げました。
REITはその投資先の内容に従って不動産を実際に所有・経営するエクイテイーREITMBSやCMBSへの投資を主とするモーゲージREIT両者の中間的存在であるハイブリッドREITに分類されます。
いずれの場合にせよその投資先は大部分が不動産関連ですからREIT発行の株式を購入する投資家はREITを通して不動産関連の投資をすることになります。
この意味でREITは不動産関連の投資を小口化して投資家に売却する仕組みと言えます。
またREITには信託型と会社型の二種類がありますが主流である会社型のREITが発行する株式の多くけ上場されます。
このことで単なる小口化から得られる以上の市場流動性がREIT株式を購入する投資家に提供されます。
さらにREITには一定の適格条件(資産の75%以上を不動産関連の投融資等で占めることや利益の95%以上を配当として支払うこと等)を満たすことで法人税がかからなくなるという税制上の利点が与えられています。
このようにしてREITを利用すれば流動性と税制上のメリットを享受しつつ実質的に不動産投資を行うことが可能となります。
REITは一般的に大口で流動性も低い実物不動産投資を小口で流動性の高い証券投資に変換し税制上のメリットも付けて不動産投資を容易なものとすることで、不動産という他の資産と異なるリスク特性を持つ投資機会を投資家に提供するばかりでなく、不動産市場への資金の供給も促進する役割を果たしています。
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